前回、パーキンソン病という少なくはない難病をご紹介しました。
原因は異なるものの、似たような状態になる人をパーキンソン症候群といいます。
似たようなとは、身体が硬くなり、思うように動かせなくなり、歩き出そうとするとなかなか足が出ず、気持ちだけは以前のように歩けるつもりでいるのに足が出ないので、前のめりに倒れてしまいそうになる、という症状です。今回はその歩きにくさについてです。
この動かしにくさは、脳の運動コントロール部分の障害となりますので、次のようなことが見られます。
平坦な道をただ歩きましょうと声掛けすると、最初の第一歩がなかなか出ず、歩き出しに苦労するのですが、階段ならばスムーズにのぼれたり、段がない場合には、足元に線を引いて、「その線をまたいでください」と伝えると、足が出たりするのです。
ですから、もし身近な人に、最初の一歩が出にくいと困っている人がいたら、床にあるものや地面の何かを目印にして「それをまたいでください」と声をかけてみてください。
歩こうと一生懸命に足を出そうとしても出なかったものが、またぐやのぼるという運動にイメージを切り替えるだけで、足が出るようになるのです。
ヒトの運動が複雑な工程で組み立てられていることからくる不思議さです。
みなさまは普段、歩いているときに、まず左足に体重を乗せて、右足の太ももの前の方に力を入れて、右足を持ち上げ、前に振り出して右足を前につけて、右足に体重を乗せるように左足で地面をけり、などというように、細かい運動を頭に描いてから動きますか?
してないですよね? 何も考えなくても、ただ、前に進もうとするだけで、自然に歩くという行為をしているはずです。
でも、パーキンソン症状が出ている人は、この自然にやっていた歩くを、やろうとすればするほど、身体が硬くなって、前に進みたいのに足が出せないので、とてもまどろっこしく思うし、情けない気持ちを抱えてしまっていたりします。
不自由を抱えて辛い思いをしているのは、ご本人だと思いますので、なかなか動き出せず、時間がかかってしまっている人が居ましたら、急がせないでください。
焦ればあせるほど、足は出にくくなってしまいます。
もし、手をとって介添えしてくださるのでしたら、「いちにっ、いちにっ」と足踏みを促してから、軽く手を引いていただけたら、少し歩き出しがしやすくなります。
手を貸してくださる方が、岩槻でも増えますように。
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