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こんにちは。愛風の久毛です。
前回に引き続き、嚥下(※小山さんへ→ルビ「えんげ」)障害についてです。
嚥下は、反射です。
ですから、意思の力でどうこうできるものではありません。
しかし、嚥下に至る前の部分は、意思の力が重要です。
そもそも、食べものを口に入れる前、目の前に準備されたものが何であるのか。
多くの人が確認しているはずです。
得体の知れないものは口にしない方も多いでしょう。
「戦時中の粗食を思い出すので…」と、おかゆが大嫌いという方もいらっしゃいます。
ですから、医療者側の常識である、嚥下機能が落ちたら、ペースト食にするべしということは、当の本人からすれば、食欲を減退させる拷問ではないかとすら思うものです。
口にしたら、咀しゃくをします。
かみ砕くのみではなく、食塊を作る、口腔内を陰圧にするという重要な役割があります。
脳卒中の後遺症として片麻痺になると、頬の筋肉にも麻痺が出て、口の中での陰圧が作れなくなったり、食塊が作れなくなったりします。
食道の途中から気管が枝分かれしていますが、その気管に食べ物が混入しないように、咽頭蓋という「ふた」がありますが、これは、ひじょうに不完全な形のもので、すき間だらけです。
このすき間から、気管に食べ物が誤って落ちたりしないようにするためには、適度な大きさの食塊を作る必要があるのです。
また、口腔内を陰圧にして、ゴックンと飲み込むときに、男性であればのど仏が上がるのが見えますね?
そのとき、咽頭蓋が気管の出入り口をふさぎます。
この陰圧が不十分だと、ふたができないのです。
食べものを食べるということは、このように複雑な様々な機能の総合作業としてやっとできることです。
この力が損なわれてきたとき、今の日本の医療では「食止め」が行われています。
元気なときには、考えもしないことでしょう。
でも、かなりの機能低下があっても、口から食べ続けることができる方法があると、実践を積み重ねている医療福祉従業者も出てきました。
もしご家族やご自身に、そのような事態が訪れた時、愛風を思い出していただけたらと思います。
【愛風・久毛】
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