岩槻郷土資料館だより 63「火熨斗(ひのし)」

岩槻郷土資料館では、「大昔のくらし」「岩槻のあゆみ」「くらしの道具」という三つの柱で展示を構成しています。
今回紹介する「火熨斗(ひのし)」はこの三本の柱のうち岩槻近郊の農村や城下町における昔の人々の生活の様子や道具を展示する「くらしの道具」の中で展示をしているものです。
「火熨斗(ひのし)」は、衣類などのしわを伸ばすための道具で、現在のアイロンと同じ役割をもっています。
柄のついた底の平らな容器に炭をいれ、容器を熱し、底を衣類などに押し付け、しわを伸ばすもので、陶器製のものや金属製のものあるようです。
郷土資料館で展示しているものは金属製で、直径約一四・五㎝、深さ約六㎝の容器に長さ二五㎝程の木の柄が付けられています。
さらに細かい部分のしわを伸ばすには、同じく展示をしている「やきごて」も使われたようです。
これは鏝の部分を熱して使ったものです。
「火熨斗(ひのし)」は、中国の漢の時代に使われ始めたと考えられていますが、まつりなどの特別な道具であったといわれています。
日本では古くは古墳時代に副葬品としされたと考えられるものが数カ所の古墳からみつかっています。
平安時代になると文献などにも登場してくることから普及してきたものと考えられていますが、全国的に遺跡からみつかっている数が少なく、一般的に使われたものではなかったといわれています。
さいたま市の西側の和光市花ノ木遺跡の平安時代の住居跡から全国的にも珍しい「火熨斗(ひのし)」がみつかっています。
中世や近世にかけての「火熨斗(ひのし)」に関わる資料が少ないため、はっきりとはしませんが、江戸時代以降に一般的に使われるようになり、そして昭和になり電気アイロンの普及とともに使われなくなっていったようです。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


インフォメーション

  1. 2024-4-12

    断念…地下鉄7号線の岩槻延伸、年度内は申請できず さいたま市議会

  2. 2024-4-12

    睡眠不足がもたらす健康リスクとは?③

    睡眠の質を高めるための方法 ・睡眠スケジュールを作成する際には、週末も同じ時間に起きるように心がけ…
  3. 2024-4-12

    「まちあわせ」

     まちづくりユニット「まちあわせ」が岩槻のさまざまなまちづくりを紹介するこのページ。 今回は3月…

『らうんじ』からの募集・告知

  1. [caption id="attachment_21730" align="alignright" …
  2. [caption id="attachment_21722" align="alignright" …
  3. 白いひげをたくわえた老人がホールで交響楽を聴いている。 ピアノを流暢に弾く青年を口元に指を当て凝視…
  4. おおよその面積を求める問題 左の図は、見慣れた岩槻区の地図です。これを見て中学生のA君とB君が以下…

岩槻について

  1. 2024/4/12

    端午の節句
    五月人形 コンパクト おしゃれ 伊達政宗 上杉謙信 兜飾り 兜ケース飾り ア…
  2. イベント情報

    2024/4/12

    手作り展開催
    体験コーナーもお楽しみに… 【日時】4月26日(金)10時〜17時 【会場】人形博物館併設 にぎ…
  3. イベント情報
    いつまでも完気で去ける身体目指しませんか? 【講師】大谷友帯(歩きち&姿勢の体験会) 【日時】4…

アーカイブ

過去記事

イベント終了などで移動になった記事はこちらから

移動済み情報記事一覧へ

 

ページ上部へ戻る