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本町6丁目の渋江口にある「時の鐘」は、江戸時代初期の寛文11(1671)年に岩槻藩主・阿部正春が渡辺正次に命じ鋳造し、鐘楼に設置されました。
その後、音響が不調になったため享保5(1720)年に同藩主・永井直陳が小幡勝行に命じ改鋳しました。
これが現在の「時の鐘」で、昭和31(1956)年に岩槻市(当時)の有形文化財(工芸品)に指定されています。機械式になりましたが、現在も朝6時と昼12時、夕方18時の3回撞かれ、時を告げています。
郷土資料館の奥、演武場の前に展示されている「時の鐘の露盤と宝珠」は、鐘楼の屋根の頂上部分に葺かれていたものです。平成元年に鐘楼の修理が行われた際、瓦が新調され、葺き替えられたため、郷土資料館に一部が保存されることになりました。これらのほかに隅鬼、廻隅などが保存されています。
「路盤」は4つの部分が組合される形となっていて、全体で一辺約76センチの正方形を示し、高さ約31センチとなります。「宝珠」は直径約34センチの円筒状の部分にのる形となり、全体の高さは約70センチとなっています。
「時の鐘」は、大正12(1923)年9月1日に起こった関東大震災によって鐘楼部分が大きな被害を受け、その際に改修が行われたといわれています。この「路盤と宝珠」はその時改修されたものと思われますが、瓦の中には、摩滅の具合などからそれ以前にさかのぼるものもあったようで、使えるものはそのまま使い、改修が行われたようです。
【学芸員 小倉 均】
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