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岩槻区野孫にお住まいの赤沼弘(ひろむ)さん(86)は、定年まで都内のタクシー会社で勤務していた。
激務であったが、勤務後は会社で用意してある銭湯に入るのが息抜きだったという。
当時から「家でもこんな広いお風呂に入れたらいいなぁ」と、自宅の浴室で一人で手足を思いっきり伸ばしていたそうだが、退職後に一念発起。
「至福の時間を味わえるお風呂をわが家にも」との一心で、みずから露天風呂を作ろうと計画した。
自由な時間を手に入れるやいなや、あれこれ作りたいモノが浮かんできた赤沼さんは、まず庭づくりへ着手。
京都の庭園を紹介する本で「庭の基本は池だ」と学んだことから、鯉が泳げる優雅な池も完成させた。
そしてようやく、念願の露天風呂づくりを開始。
過去の経験を振り返る赤沼さんは「コツコツ試行錯誤してできあがっていく工程をみるのは、このうえない喜びです」と話す。
露天風呂づくりを始めてからおよそ二十数年の20数年の歳月が経つが、地道に作り続けた浴槽は、お湯が漏れることもなくいまだ現役。
今でも「外仕事を終えたあと、ひとっ風呂を浴びるのは極楽ですね」と、赤沼さんは感想をつぶやく。
ほかにも風景写真の撮影を趣味を持っており「ここ数年は遠出を控えていますが、機会があれば自分の目で見たシャッターチャンスを狙いたい」と意欲的に話していた。
今年、86歳の誕生日を迎えたが、まだまだゴールのない趣味と一緒に毎日を謳歌している。
【増田啓子】
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