(ふしぎなたねから生まれた台風の芽。ポテトチップスが気に入ったようです。げんきに大きくなるかな?)
つぎの日のあさは、気温が グッと あがっていました。
おかあさんが、ベッドをでて、リビングのドアをあけると……
「きゃーーーーーーーっ」
びゅるるるーん! ぎゅるるるーん!
紙くず、しんぶんし、チラシ、ティッシュの箱、えんぴつ、ビニール袋、メガネケース、おとうさんのくつした、おかあさんのエプロン、さやちゃんのぼうし、たっちゃんのシャツ、などなど……いろんなものが へやの中を とびまわっているではありませんか!
「あ、あなた! たいへんよ! はやくおきて! どうしたらいいの?!」
おとうさんも、さやちゃんも、たっちゃんも、おかあさんのさけび声で とびおきました。
びゅるるるーん! ぎゅるるるーん!
台風の葉っぱがパタパタうごいて、大きなうずまきが、おおあばれしています。

おとうさんは、エアコンのリモコンを ひっつかんで、スイッチ・オン!
つめたい風がシューッと ふきだして、とんでいたものが、つぎつぎに落ちてきました。
リビングは、やっと しずかになりました。
おとうさんは、リモコンを にぎりしめたまま、口をひらきました。
「あつくなって、台風が大きくなったんだ。温度を さげたから、もうだいじょうぶ」

台風は小さくなって、テーブルのうえで ひゅるるんと、しずかに まわっています。
「おとうさん、この子、どうするの?」さやちゃんが ききました。
「ずっとエアコンを つけておくわけには いかないなあ」おとうさんは、こまっています。
「冷蔵庫に いれちゃう?」おかあさんがいいました。
「冷蔵庫の なかなんて、さむすぎるよ!」たっちゃんが、なきべそをかきました。
「くらくて、かわいそうだよ!」さやちゃんも、なきそうです。
つづく
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