昭和の子どもたち~その5~『時の鐘の音色を巡る昭和と今』

年の瀬ならではの除夜の鐘が鳴り、平成30年の歩みが始まった。
除夜の鐘は、108つもの人間の煩悩を除去し、新しい幸せを求めて撞くともいわれる。
幸いにもわがでは、1日のうちで3回にわたり「時の鐘」の音色を聴くことができる。

《岩槻に、過ぎたるものが二つある 児玉南柯と時の鐘》

岩槻の宝とも言える時の鐘について、私には2つの思いがある。
ひとつは、昭和の時代に鐘の音が、私の身体の中へ浸み込み、心を清らかに穏やかにしてくれると感じたことだ。何をしていても美しい音色は、深く心に刺さった。
ところが今は「もう6時だから時の鐘聞こえるかな? 聞きたいな」と耳を傾けてしばらく聴き取れる。
たしかに鳴ったと気が付きホッとするのだが……それで終わりだ。
そして、もうひとつは昭和の子どもたちを教えていた頃、時の鐘を撞く貴重な体験をさせていただいた。
当時は管理人の方が実際に撞き、そのお許しを受けて、時の鐘を撞かしていただくことができた。
高学年のリーダー格の子に「時間だぞ行こう!」と声をかけて、私たちは時の鐘へと向かった。
とはいえ、私は子どもたち撞いている現場を見ていたわけではない。
しかし、話を聞いた限りではおそらく、ルール・礼儀、自律の中で鐘を力いっぱい撞く体験をさせていただいたのだと思う。
それは彼らにとって、きわめて貴重な体験だったのだろう。
雑多な音で、美しい時の鐘の音色を捉えにくくなった現代は、多様な価値観の中で、自分にとって大切なことを見失いがちだ。
責任もって一打に全力を注いだ爽快さ、鐘を撞く体験をした満足感……。今では懐かしい、昭和時代の子どもたちが体験したことだ。
文明の利器や、様々な楽しいこと、おいしいものが溢れている平成の現代。価値観を見失わずしっかり生きていけば幸せも大きい。
 【谷倫】

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