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前回までのおさらいとして、これまでは政策問題をどのように捉え、どのような設計手法を用いたらよいかと、事例を挙げながら考えました。
今回は、その政策を実際に決定していく過程を考えてみましょう。
政策問題を解決するための政策案は、基本的に行政機関の担当部局で作られます。
しかし、政策は社会にさまざまな影響を与えるため、担当部局だけで作ることは難しいです。
また、担当部局といっても担当者が数年ごとに配置転換されることも多く、いくら優秀と言われる公務員でも、わずか数年間で制度の内容から理論知まで深めることは困難です。
よって、その道のスペシャリストであることは少ないです。
みなさんも担当者へ何か政策的な提言をした際に「私の方がその分野に詳しい」と思った経験もあると思います。
もっとも、その担当者が研究者のような理論知まで知っている必要があるかというと不要だといわれることもあります。
つまり、その担当者自身が政策設計に高度な理論知が必要になれば、当該分野の専門家を呼んでくればよく、専門家の提言を理解するリテラシーがあればよいということです。
そして、理論知だけでなく、現場知も欠かせない要素となっています。
現場知とは、業界の実態や通例などといった理論で表せない慣習などの知識です。
仮に、旧態依然の業界に自由な競争が必要だと政策案を作ったとします。
ただ、1社だけ経営基盤が強固な状態で自由競争を進めた場合には、他の企業は一気に淘汰されてしまうといった逆効果が起こってしまう可能性があります。
こうした理論知と現場知の両方を補うため、担当部局は政策案を作る前に業界関係者や専門家を交えた審議会を作ることが多いです。
審議会以外にも、研究会・検討会などといった名称が使われることもあります。
また、審議会のように法律に基づいたフォーマルな会ではなく、私的諮問機関として懇談会といったものを作る場合もあります。
そうした、専門家や業界関係者との意見交換から解決のための政策案を検討して、合意形成を図ることも役割として担っています。
しかし、専門家や業界関係者の意見聴取だけでは、不十分です。
政策の受け手である市民からの反応も重要です。
そのため、市民代表を審議会や私的諮問機関の委員に入れることがあります。
ただ、その市民代表が「一般の市民」といえるのかが疑問が生じます。
例えば、特定の団体に属している委員でいれば、特定の団体の意向に沿う発言をすることが考えられます。
また、委員会の委員になる市民は人数に限られていたり、委員会での発言時間が限られていたりすることがほとんどのため、十分とは言い難いです。
そのため、より広く意見を求める手法としてパブリックコメントや公聴会が挙げられます。
平成17年に改正された行政手続法の中でも、内閣や行政機関が案や資料をあらかじめ公示して、広く意見を求めなければならないとして重要な位置付けをパブリックコメントは担っています。
以上のように、政策実施の過程には、たくさんの利害関係者が絡むことになります。
そして、この政策決定の過程で合意形成も図られることになり、さまざまな妥協をして実際に行われる政策案が完成していくことになります。
今回紹介した内容以外にも、国会では官僚と政治家。与党と野党の関係などを調整した上で政策決定がされます。
そのため、政策決定をするということは、一筋縄でいかないことが分かります。
次号は、政策実施から評価方法まで考えてみたいと思います。
【尾舘祐平】
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