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(ポテチが大好きな台風の芽、気温が上がって、おおあばれ! おかあさんは、冷蔵庫にいれちゃう? といいますが、さやちゃんとたっちゃんは、大反対!)
「うーん……それなら、もといたところに、かえそうか」おとうさんが いいました。
おかあさんが、はっぽうスチロールの箱に“ほれいざい”をたくさんいれました。
さやちゃんは、その中に、台風の芽をいれました。
ちかくの海岸へいくと、さやちゃんが、そうっとふたをあけました。
台風の芽は、ふわっとうきあがると、しばらく四人のまわりをまわってから、ひゅるるーんといって、南の海のむこうにきえていきました。
たっちゃんが、さびしそうにいいました。
「あの子、ぼくたちのこと、わすれちゃうかな」
「きっと、わすれないさ」おとうさんが、いいました。
「ポテチ、気にいってたよね」さやちゃんが、いいました。
「海のしおあじと にてたから かもね」と、おかあさん。
四人は、しばらく南の空を見あげていました。
それから数週間たった日の よる。
雨が ザアザア、まどは ガタガタ。
さやちゃんと たっちゃんはベッドのなかで ふるえていました。
大きな台風が、さやちゃんたちの町に まっすぐ むかってきたのです。
「もしかして、あの台風かな」さやちゃんが いいました。
「ぼくたちのことを おぼえてて、またポテチ たべに きたんじゃない?」
たっちゃんが いいました。
「おうち、こわれたら どうしよう」と、さやちゃん。
「こっちに きてくれなくて いいよぉー」と、たっちゃん。
ふたりは ふとんを にぎりしめたまま、どうすることも できません。
ザアザアザア、ガタガタガタ……音が ますます 大きくなって きました。
そのとき、ひゅるるん……ひゅるるん……という音が きこえたような……
ふたりはいつのまにか、ねむってしまいました。
〜つづく〜
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