岩槻郷土資料館だより(29) 企画展「大岡家の墓所からの出土品」

平成二九年に行われた岩槻藩の最後の藩主であった大岡家菩提寺である東京都港区湖雲寺の発掘調査では、大岡家歴代藩主や妻子の墓所の位置が明らかにされました。
これまで大岡家の墓所は関東大震災や戦災などによって、明確な位置は不明となっていました。
今回の発掘調査では位置を確認しただけでなく、過去の記録などからそれぞれの被葬者を特定し、その内容も明らかにすることができ、貴重な発見となりました。
今回、岩槻郷土資料館では、この「大岡家の墓所からの出土品」を2019年10月12日(土)から11月24日(日)まで展示することになりました。
湖雲寺は祥永山の山号をもつ曹洞宗の寺院で、もとは四谷仲殿町(現在の新宿区四谷一丁目)にありました。
享保年間の火災を機に江戸麻布谷町(現在の東京都港区六本木四丁目)に移ったものです。
大岡家は忠光の三代前の忠房の代から菩提寺としており、忠光を除く歴代の当主や妻子の墓所となっていたようです。
本堂に安置されていた木造地蔵菩薩立像は弘法大師作といわれ、寛政二年(一七九〇)大岡忠光の奥方から納められたものという記録があります。
今回は、八〇点程の出土品の他、関連する資料も展示していきます。
主な資料では、石の趣味が深く、銘石を集めていた大岡忠固の墓所からは木製の台とともに、飾り石があります。
これは、蒐集していた銘石の一つであったと思われます。
また古墳時代と考えられる勾玉や金環などもありました。
岩槻城北側の竹ばた曲輪や浄安寺境内には古墳が存在しており、こうした古墳からの出土品であれば、非常に興味深いものです。
この他、子供たちの墓所からは、小型のがらがら、土鈴、鳩笛などの玩具、孔子、親子猿、座り坊主、狆抱き坊主などの人形、小型の銅製の茶釜、手鍋、羽釜や京焼の皿、擂鉢、土瓶、鉢、把手付などの器物が見られました。
幼くして亡くなった子どもたちに対する思いやりなどが見られるように思えます。
今回の展示では、こうした墓所からの出土品をとおして、そこに込められた様々な思いなどを見ていただければと思います。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


インフォメーション

  1. 2024-4-12

    断念…地下鉄7号線の岩槻延伸、年度内は申請できず さいたま市議会

  2. 2024-4-12

    睡眠不足がもたらす健康リスクとは?③

    睡眠の質を高めるための方法 ・睡眠スケジュールを作成する際には、週末も同じ時間に起きるように心がけ…
  3. 2024-4-12

    「まちあわせ」

     まちづくりユニット「まちあわせ」が岩槻のさまざまなまちづくりを紹介するこのページ。 今回は3月…

『らうんじ』からの募集・告知

  1. [caption id="attachment_21730" align="alignright" …
  2. [caption id="attachment_21722" align="alignright" …
  3. 白いひげをたくわえた老人がホールで交響楽を聴いている。 ピアノを流暢に弾く青年を口元に指を当て凝視…
  4. おおよその面積を求める問題 左の図は、見慣れた岩槻区の地図です。これを見て中学生のA君とB君が以下…

岩槻について

  1. 2024/4/12

    端午の節句
    五月人形 コンパクト おしゃれ 伊達政宗 上杉謙信 兜飾り 兜ケース飾り ア…
  2. イベント情報

    2024/4/12

    手作り展開催
    体験コーナーもお楽しみに… 【日時】4月26日(金)10時〜17時 【会場】人形博物館併設 にぎ…
  3. イベント情報
    いつまでも完気で去ける身体目指しませんか? 【講師】大谷友帯(歩きち&姿勢の体験会) 【日時】4…

アーカイブ

過去記事

イベント終了などで移動になった記事はこちらから

移動済み情報記事一覧へ

 

ページ上部へ戻る