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つかのこし古墳の出土品については、前回概略をお伝えしましたが、これらの出土品は、平成八年三月八日付で、市指定有形文化財(考古資料)に指定されています。
今回は、直刀について紹介したいと思います。
直刀は、大型のもの三点、小型のもの一点出土しています。
このうち大型の一点の鍔の分と、鈨(はばき)の部分に銀象眼が施されていることがわかりました。
象嵌と言えば行田市にある埼玉古墳群の稲荷山古墳から出土した「金錯銘鉄剣」は身部に一一五文字の人名、年号、地名などが刻まれていることが明らかになり、古代史の研究の上では重要な資料として国宝に指定されたことは皆さんもよくご存じのことと思います。
この鉄剣は、素材の上を彫りこみ、そこに金を嵌め込んだものですが、つかのこし古墳出土の直刀は銀を嵌め込んだものです。
文字ではなく、蕨手状、C字状、直線的な文様が彫られています。
こうした大刀は、「飾り大刀」と呼ばれ、武器として実用的なものではなく、儀礼的なものといわれて、武人の長である人物が所有していたものと考えられています。
埼玉県内からは県北部を中心に四〇例ほど発見されていますが、県南部や県東部での発見は珍しいものといえます。
鉄製品のため、保存上の問題もあり、常時展示を行ってはいませんが、ケース内にあるX線写真などによって、象眼の施された飾り大刀をご覧いただければと、思います。
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