岩槻郷土資料館だより⑤ 岩槻城の名残りを残す「かわらけ」とは?

岩槻城の発掘調査で発見された中世の遺物の中に「かわらけ」があります。
これは直径10㎝ほどの素焼きの皿で、中世の城跡や居館跡など限られた場所からまとまって出土することが多くみられます。
そのため、何らかの儀礼や儀式の酒宴の際に用いられ、一度の使用で廃棄されたものといわれています。
岩槻城でもお堀などから「かわらけ」がまとまって出土しています。
「かわらけ」は、形態や作りなどからいくつか地域的な特徴が見られ、それぞれの政治的な勢力とのかかわりが考えられています。
15世紀後半から16世紀前半の関東地方の城跡などから出土した「かわらけ」をその特徴から分類してくと「山内上杉氏」、「扇谷上杉氏」、「古河公方」の三つの勢力範囲とほぼ一致しているといわれています。
岩槻城から出土した「かわらけ」はその特徴から山内上杉氏に関わるものや扇谷上杉氏のに関わるものが見られますが、16世紀後半には小田原北条氏に関わる「手づくねかわらけ」と呼ばれる特徴的なものが出土しています。
前号で紹介した「堀障子」と共に小田原北条氏とのかかわりを強くうかがうことができるものです。
このように、いくつかの勢力の中、中世の岩槻城がおかれていた立場が、この出土した「かわらけ」から垣間見ることができます。
学芸員 小倉 均

手づくねかわらけ
手づくねかわらけ

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