時の鐘のミニチュアに 匠の技をみた

このコーナーではこれまで、時の鐘の葺き直しを手がけた瓦職人・布川活治さんや、の銘菓「時乃鐘最中」の製造元である時の鐘田中屋の4代目・田中和美さんを紹介してきた。
そうした中で読者からの反響があり、区内在住のOさんから「時の鐘にちなみ取り上げてほしい方がいる」とご意見をいただいた。
そこで会いに行ったのが、時の鐘のミニチュア模型を制作した鈴木惟司(75)だった。
鈴木さんの実家は宮城県石巻市で、地元の大川小学校近くで生まれ育った。
子どもだった当時は、中学校を卒業したら仕事をするのが当たり前の時代で、鈴木さんも丁稚奉公から修行を重ねて一人の職人としての道を歩み始めた。
地元で4年間の丁稚奉。
1年間の札奉公と計5年間の修行時代を経て、東京へ上京。
その後、結婚を機に岩槻へ移り住み今なお続く「鈴木建具店」をかまえた。
しかし、なぜ時の鐘のミニチュア模型を手がけようと思ったのか。
「毎年、何か一つ挑戦するという目標を掲げているため、今年も挑戦しようと考えていた」と話し始めた鈴木さんは、「模型を作れば子どもたちが時の鐘に興味をもってくれるのではないかと思ったこから」と理由を話してくれた。
さらに、鈴木さんは「ミニチュア模型のみどころは大きく二つあります」と語ってくれた。
一つは、釘がいっさい使われていないこと。
模型ながら、現物の時の鐘に用いられた工法を再現しているため、木を組み合わせてつないでいるのだという。
そして、もう一つはミニチュア模型の一番上にある宝珠だ。
宝珠とはそもそも、災難を除き濁水を清くするといわれている、願いが思い通りになる珠を差している。
時の鐘の宝珠の形は玉ねぎのように先端が天に向かって細くなっているが、鈴木さんは「制作過程で宝珠が大切な意味を持つことを知ったので、実際の時の鐘へ訪れる方にも注目してみてほしい」と話していた。
最後、鈴木さんは「仕事一筋で地域との関わりは少なかったのですが、このような形で貢献できるのはうれしい」と語っていた。
今回、紹介したミニチュア模型は岩槻で8月中旬に展示される予定。
利用する際にはぜひ、立ち寄って見ていただきたい。
【尾舘祐平】

昨年は「紙芝居の台に挑戦した」と鈴木さん

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